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読書バリアフリー法の全体像と実践例

読書バリアフリー法の全容

法律の背景と成立経緯

正式名称「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」は、2019年6月に成立しました。視覚障害や発達障害、上肢障害など様々な理由で紙の書籍を読むことが困難な方々の読書権を保障するという考え方が背景にあります。国際的には「マラケシュ条約」の精神を受け継いだ国内法と位置付けられています。

主な内容とポイント

読書バリアフリー法では、アクセシブルな書籍(点字図書、拡大図書、音声DAISY、マルチメディアDAISYなど)の提供促進、図書館等の責務、出版社の取り組み、著作権法との関係などが規定されています。特に「読書バリア」という概念を明確に示し、それを取り除く社会的責任を明らかにした点が注目されます。

図書館における実践例

法施行後、各地の図書館では様々な取り組みが始まっています。東京都立中央図書館では音声DAISY図書の蔵書拡充や対面朗読サービスの拡充、読書支援機器の設置数増加などが行われています。京都市図書館では地域ボランティアと連携した音訳図書の製作体制強化や、オンライン音声図書館サービスの導入などが進んでいます。

出版社・書店での対応

出版社では電子書籍出版時のアクセシビリティ対応強化や、出版と同時にアクセシブルな版の提供などの取り組みが進んでいます。書店では大活字版コーナーの設置、音声DAISY図書の取り扱い開始、店舗のバリアフリー化などが行われています。

読書バリアフリー法の課題と今後の展望

法施行から数年が経過し、大都市と地方の間のサービス格差、商業出版におけるアクセシブルな版の同時出版の遅れ、専門スタッフの不足、予算確保の問題などの課題が指摘されています。今後は国・地方自治体・民間事業者の連携強化や、技術革新による効率化などが期待されています。

読書バリアフリー法は、すべての人が平等に読書を楽しめる社会の実現に向けた重要な一歩です。今後も継続的な取り組みが求められています。

FAQ:よくある質問

読書バリアフリー法とは何ですか?

読書バリアフリー法(正式名称:視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律は、2019年6月に施行された法律です。この法律の核心は、視覚障害発達障害上肢障害など様々な理由で紙の書籍を読むことが困難な方々の読書権を明確に保障することにあります。国際的なマラケシュ条約の精神を受け継いだ国内法として位置づけられ、点字図書、拡大図書、音声DAISY、マルチメディアDAISYなどのアクセシブルな書籍の提供促進を目指しています。特に重要なのは、「読書バリア」という概念を法的に明確化し、それを取り除くことが社会全体の責任であると明示した点です。

読書バリアとは具体的に何を指しますか?

読書バリアとは、従来の紙の書籍にアクセスすることを妨げる様々な障壁を指す概念です。具体的には、視覚障害による文字情報の認識困難、発達障害による読字・読解の困難、上肢障害によるページめくりの困難など、多様な状態が含まれます。読書バリアフリー法ではこの概念を明確に定義し、障害の有無にかかわらず全ての国民が等しく読書を通じて文字・活字文化の恵沢を享受できる社会の実現を目指すとしています。読書バリアは単なる個人の問題ではなく、社会環境によって生じる障壁であり、その解消は社会全体の責務であるという考え方がこの法律の基盤となっています。

図書館では読書バリアフリー法の施行後、どのような具体的な取り組みが行われていますか?

読書バリアフリー法施行後、全国の図書館ではアクセシブルな読書環境整備が加速しています。東京都立中央図書館では音声DAISY図書の所蔵が拡充しました。また、拡大読書器や音声読み上げ機能付きタブレットなどの読書支援機器を各フロアに設置するようになりました。
京都市図書館では、音訳ボランティア団体と連携を強化し、地域資料や郷土史料の音訳化プロジェクトを開始。さらに、「サピエ図書館」などのオンライン音声図書館サービスへのアクセスポイントを館内に設置し、利用者が5万タイトル以上の音声図書にアクセスできる環境を整えました。

読書バリアフリー法と障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法との関係はどうなっていますか?

読書バリアフリー法(2019年)と障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法(2022年)は、情報アクセスの権利保障という共通の理念を持ちながら、対象範囲と具体性において相互補完的な関係にあります。読書バリアフリー法が「読書」という特定領域に焦点を当て、具体的な施策や関係機関の責務を明確化しているのに対し、障害者情報アクセシビリティ法はより包括的にあらゆる情報」「多様なコミュニケーション手段へのアクセス確保を目指しています。

例えば、読書バリアフリー法では点字図書館や公共図書館など「読書」に関わる機関の役割が強調されていますが、障害者情報アクセシビリティ法では行政機関の情報発信、災害情報、選挙情報など、より広範な情報アクセスとコミュニケーションの権利を保障しています。両法を組み合わせることで、書籍という固定的な情報からリアルタイムな情報まで、あらゆる情報に平等にアクセスできる社会の実現を目指す法的枠組みが整いつつあると言えます。

2024年の改正バリアフリー法は読書バリアフリー法とどのように連携していますか?

2024年4月に全面施行された改正バリアフリー法は、読書バリアフリー法と重要な連携関係にあります。最大の変化点は、改正バリアフリー法によって民間事業者に「合理的配慮の提供」が法的義務化されたことです。この合理的配慮には情報アクセシビリティの確保も含まれるため、読書バリアフリー法が推進する読書環境の整備も「合理的配慮」の一環として法的に強化されました。
具体的には、書店では視覚障害者が来店した際の対応マニュアルの整備、出版社では障害者からの電子データ提供依頼への対応体制の構築、図書館では障害特性に応じた資料提供方法の多様化など、読書環境に関わる各主体の取り組みが「努力義務」から「法的義務」へと段階的に移行しつつあります。また、改正バリアフリー法では違反時の勧告・公表制度も整備されたため、読書バリアフリー法の理念実現が実効性を持って推進される法的基盤が強化されたと言えます。

企業の広報資料は読書バリアフリー法の対象になりますか。対応するためには何をすべきですか?

企業の広報資料は直接的には読書バリアフリー法の主要対象ではありませんが、法の理念に沿ってあらゆる人が平等に情報にアクセスできるよう配慮することは、社会的責任として重要です。また、2024年の改正バリアフリー法による合理的配慮の提供義務化によって、アクセシブルな情報提供は法的にも求められるようになっています。

具体的な対応としては、まず広報資料のデジタルバージョンではPDFのアクセシビリティ対応を行ってください。印刷物については、大きめのフォントサイズ(最低12ポイント以上)、十分なコントラスト、認識しやすいフォントの選定などの基本対応を実施します。
特に効果的なのは音声QRコードの活用です。印刷された会社案内、製品カタログ、CSRレポートなどに音声QRコードを付けることで、視覚障害者や読字に困難のある方々も内容にアクセスできるようになります音声QRコードは専用アプリ不要で一般的なQRコードリーダーで読み取れるため、導入障壁が低く費用対効果が高いソリューションです。

音声QRコードとは何ですか。どのように読書バリアフリーに貢献しますか?

音声QRコードは、印刷物に付与することで、その内容を音声で聞くことができるようにする技術です。通常のQRコードと見た目は似ていますが、コードをスキャンすると音声データにアクセスでき、印刷された情報を音声で受け取ることができます。

読書バリアフリーへの貢献として特に優れている点は、その利便性と汎用性です。利用者は特別なアプリをインストールする必要がなく、一般的なスマートフォンのカメラやQRコードリーダーで簡単に利用できます。印刷物の一部にQRコードを配置するだけで実装できるため、出版社や企業にとっても導入ハードルが低いことが特徴です。

DAISY(デイジー)とは何ですか?どのような種類があり、読書バリアフリー法でどう位置づけられていますか?

DAISY(デイジー)は「Digital Accessible Information SYstem」の略で、視覚障害者や読字障害者など、印刷物を読むことが困難な方々のためのデジタル図書の国際標準規格です。通常の音声図書と異なり、目次から特定の章や節に直接移動できる、再生速度を変えても音質が維持される、テキストと音声が同期するなどの特長があります。

「情報格差をなくす」ことが、今、企業に求められています。

2024年4月に改正バリアフリー法が全面施行され、障害者への「合理的配慮の提供」が法的義務となりました。それに先立ち、「読書バリアフリー法(2019年)」や「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法(2022年)」も施行され、情報へのアクセスがすべての人の「権利」として位置づけられています。これにより、企業や自治体、学校、店舗などは、視覚・聴覚に障害のある方を含め、あらゆる人に向けて「読みやすい」「伝わる」情報提供を行う責任を負うようになりました。

情報提供の見直しには、コストや手間がかかる―そう感じていませんか?

・点字や読み上げ対応の印刷物を準備するには専門業者が必要

・ウェブアクセシビリティ対応にはシステム改修が必要

・動画に字幕や手話を付けるのは時間もコストもかかる

こうした課題を解決する手軽で費用対効果の高い方法があります。

誰でも、すぐに。

音声QRコードで「合理的配慮」が始められます。

スマホをかざすだけで、チラシ・ポスター・商品パッケージ・公共施設の案内が音声で聞ける。 音声QRコードは、視覚障害者・高齢者・外国人など、文字情報にアクセスしづらい方にも情報を届ける、今注目の情報支援ツールです。
・特別なアプリは不要。QRコードを印刷物に貼るだけ

・音声内容の更新も簡単。必要に応じていつでも差し替え可能

・1つ作れば、紙もデジタルも「話せる情報」に変わる

お問い合わせはこちら

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