最近、「バーチャルリアリティ」や「バーチャルプロダクション」という言葉が広がっていますが、「それを使って具体的に何ができるか?」と思ったことはありませんか?
ユースケースとしてVRを使用した「トゥーランドット」というオペラを以下に詳しく説明します!
バーチャルプロダクションのメリットについては詳しく解説しているこちらの記事をご覧ください。
フィンランド国立オペラとバレエ(FNOB)はVarjo社とコラボレーションし、2023年1月27日に初演されたオペラ「トゥーランドット」フルセット演出をデザインしていました。フィンランドにあるVarjo社は高性能のXR製品、主にヘッドセットを開発している会社です。
2年の歳月をかけて完成した『トゥーランドット』は、FNOBだけでなく世界中のオペラハウスで、この規模の舞台裏没入型テクノロジーをコンセプト実証の段階から最終プロダクションまで使用し、大きな利益を得た最初の作品です。
『トゥーランドット』はFNOBとスウェーデンのマルメ・オペラが共同制作しました。Unreal Engineに開発された「XR Stage」というデザイン視覚化ツールとVarjo AeroのVRヘッドセットを使用しました。フィンランドのZOANというスタジオが本舞台の3Dモデルを制作しました。
Varjoの技術で、バーチャルモデルは視覚的にリアルなサイズと外観であり、グローバルのチームメンバーでもスムーズに連携し、まるでその場にいるかのように制作できます。プリプロダクションの段階で、物理的なセットを作る前に、一からフォトリアルのバーチャルセットを構築し、その没入感のある3Dセットで作品を映し出すので、時間を節約し、全体的に制作のプロセスが効果的になります。
FNOBのプロダクション兼テクニカルディレクターのティモ・トゥオヴィラは「20年もモデリングライトを使用したことで、技術チームは芸術チームに迅速かつ高品質な結果を提供するために、より効率的なソリューションが必要だと認識しました。当社の芸術家は、バーチャルのツールを使用するとしたら、モデルなどがフォトリアルで、直感的なユーザーエクスペリエンスであるものだけを取り入れました。Varjo社のXR技術はそれを可能にし、舞台から本物そっくりのデジタルツインの制作ができ、野心的な芸術チームと技術チームの予想通りの結果が得られました」と述べました。
バーチャルコラボレーションにより、舞台制作チームのヘルシンキとマルメの間の海外出張は、少なくとも3回削減され、移動時間が短縮されました。この1つの要因だけで金銭的・環境的なメリットがあります。
・従来型のステージデザイン・プロダクションの仕組みと比べると、XRステージプロダクションよりは人件費や材料費の削減ができました。また、ステージの作成にXRツールを使用したことにより、約€75,000の費用削減ができました。
・XRツールの効率やセットと没入型モデルが可能にした知識により、人件費の20%が削減されました。
・製作の作業から1500時間のカットができました。
・VRで行っていた安全対策により、芸術チームの職場の安全性を向上させました。担当者は、20 ~ 30 人がステージを操作する高価な実際のステージ時間を必要とせずに、プロダクションの早い段階でステージを視覚化し、没入型環境で動きと出口を練習することができました。
今回はXR技術を使用したオペラ『トゥーランドット』のリアルユースケースを紹介しました。 XR技術の活用により、制作チームは時間とコストを削減し、物理的なステージを作る前にステージの効率化を計画し、海外出張を減らすことができました。これからもますますXR技術が様々な分野に参入し、日常生活でも変化していく傾向が見られるようになりますね!