組立作業は容易ではありません。文字と図面のみで説明された技術書は一般的に、誤解を生みやすく理解しづらいものです。ARマニュアルは、次の組立手順が一目で理解できるよう作業者を視覚的にサポート。作業者はニーズに応じて、3Dアニメーションを実機に重ねて再生したり、バーチャルな3Dオブジェクトを空間に表示することができます。
ジェットエンジンを英文と2D図面で構成されたマニュアルに従い2万点の部品を組み立てるのは、熟練技術者にも容易ではありません。ARマニュアルは、世界共通の「視覚的」言語により、認知的負荷を軽減し、作業者が本来の作業に集中できるようサポートします。経験の浅い技術者でも、複雑な作業をより迅速に行うことが可能になります。ARの導入により、組立作業の効率は約40%~60%向上しています。
保守・点検・修理には技術と経験が必要です。特殊な作業の場合、経験豊富な技術者でさえマニュアルに頼らざるを得ません。ARマニュアルは、技術者が必要な手順をより短時間でより正確に実行するために大変役立ちます。
導入事例
設備の定期メンテナンスのため、技術者がクライアントの工場を訪問。欠陥部品を見つけましたが、頻繁に起こる不具合ではなかったため部品の交換方法を思い出せませんでした。そこで技術者はスマートフォンのアプリでARマニュアルを再生し、部品の交換手順、参照画像とリンク、作業の確認等、インタラクティブな指示を確認。メンテナンス作業は、外部の助けを借りることなく短時間で終了しました。
グローバル化した市場では、世界各国に向けた年中無休のテクニカルサポートがますます重要になっています。それに伴い多くの企業では、この24時間365日のサポート体制にかかる人件費と旅費の削減が目下の課題となっています。ARの視覚的インストラクションを活用し、これらニーズの多くを遠隔で解決することにより、大幅な費用の削減が見込めます。
導入事例(装置製造業者S社)
技術者を24時間常駐させ、必要に応じ海外顧客に派遣していたS社は売上が伸びるにつれコストが急増したため、S社は代替ソリューションを検討し始めました。最終的にARの導入を決定し、現在では全ての顧客にARトラブルシューティングマニュアルが配られ、あらゆる参考資料等を含んだ視覚情報に何時でもアクセスできます。これにより、技術者の渡航は大幅に減少しました。
ARユーザーマニュアルは、顧客満足度向上のための最適なツールになるかもしれません。顧客へ新たなユーザーエクスペリエンスや付加価値を提供することで、商品に対する理解を深めるだけでなく、ポジティブな驚きと興奮を与え、競合他社との差別化を図ることができるからです。
導入事例
家具メーカーE社は顧客満足度を向上させる方法を模索していました。改善すべき課題の一つとして挙げられたのは、家具の組立に関する紙ベースのユーザーマニュアルでした。一定数の顧客はマニュアルの内容を正しく理解できず、結果的に混乱を招き、家具に損傷を与えるケースが多発していたためです。
E社はARユーザーマニュアルを導入。家具の箱に貼られているバーコードをモバイルアプリで読み取ると、該当するARマニュアルが再生され、ユーザーは3Dの組立手順を見ることができるという仕組みです。これにより、顧客満足度は約30%向上しました。
トレーニングは企業にとって重要な活動である一方、多大な費用と労力が求められます。ARはあらゆる種類のトレーニング(機械操作、緊急時対応、安全、教育等)及び研修生(新入社員や代理店等)を効率的にサポートするため、教育者の負担とトレーニング費用を大幅に削減することができます。
導入事例
ジェットエンジンの組み立ては大変複雑です。教育者は実機エンジンを使ってデモを行いますが、外から見えない機構(シャフト内部等)や類似部品(エアチューブやガスチューブ等)が多いため、新人研修性にとっては直観的に理解しづらい現状があります。
ARはこれら問題のほとんどを解決してくれます。内部メカニズムを3Dアニメーションで視覚的に表示し、混乱し易い部分を異なる色で強調することができるからです。時間と場所を選ばず学習できることも、ARの大きなメリットだと言えるでしょう。
展示会は潜在顧客を獲得するのに最適な場所ですが、大型機械や製品を搬入し設置するには多くの費用が掛かります。製品の全ラインアップをARで展示し実物大で見せることで、より多くの来場者を自社ブースに集客し、展示会を最大限に活用することができます。
導入事例
産業用ロボットメーカーY社は、効果的なマーケティング方法を模索していました。国内外の展示会に相当な予算を投じていましたが、ある時競合他社がARを使って製品をアピールし、来場者の注目を集めているのを目にしました。
そこで、Y社もARに挑戦することを決めました。ブースには実機を1台のみ設置し、他の機械やアドオンユニット等はARで実演したのです。その結果、来場者は約40%、新規問い合わせは約25%増加しました。
ARはセールスツールとしても大変有効です。持ち運べない大型製品も実物大または拡大縮小サイズで表示でき、全ての製品を360°方向から紹介できるため、製品の魅力をより効率的に伝えることができるからです。また、オンラインでの製品販売もより簡単になります。
導入事例
機械装置メーカーN社は、自社の交換用機器の導入メリットを顧客に上手く伝えられず苦労していました。言葉による説明では顧客側が既存機器と比較した利点をあまり感じられず、導入に踏み切れなかったのが主な原因でした。
N社は顧客の工場を訪問し、ARによる製品紹介を行いました。設備や機能を3Dアニメーションで実演することにより、顧客は機器の利点を理解し最終的に交換用機器の購入を決定しました。
近年、教育コンテンツのデジタル化が政府や各教育機関から注目を浴びています。様々な研究から、AR は一般教養科目(物理・生物・化学・地理・歴史・社会・数学等)および専門教育科目(工学・理学・医学等)を含む全ての分野において優れた体験型学習効果をもたらすことが証明されています。
導入事例
K 中学校では、デジタル化のニーズに応え、生徒全員に新しいタブレット端末を購入しました。しかし、デバイスは揃ったものの授業で利用できるデジタルコンテンツがなかったため、先生は生徒のやる気を引き出すコンテンツを簡単に作成できる便利なツールがないか探していました。
K 中学校の校長は、あるイベントで AR の存在を知り、教科書を補完するツールとして AR の導入を決定しました。導入後、生徒達の学習意欲は飛躍的に向上。3D アニメーションで学ぶことで複雑な課題に対する理解が早まり、より楽しく学習に取り込むことができるようになったと好評でした。