CORE

順天堂大学三島キャンパス山下巖教授のメタバースプラットフォーム「CORE」の活用事例

「メタバース」というキーワードは、ハイプ・サイクルでは「幻滅期」に移行しています。しかしながら、足元での企業活動においては着実に具体的な取組みが進行しています。
日産HONDAは「フォートナイト」を活用したプロモーションを展開しおり、「cluster」では様々な団体が学会を開催し、メタバース空間上での交流は定着しているように見えます。
医療学習の現場においても、メタバースは活用されており「順天堂大学三島キャンパス山下巖特任教授」のメタバースプラットフォーム「CORE」の導入事例をご紹介いたします。

順天堂大学三島キャンパス山下巖特任教授

担当授業科目:英語Ⅰ・Ⅱ, 英語コミュニケーションⅠ・Ⅱ , コミュニケーション論, 医療英語, International Collaborative Study in Nursing , 国際看護研修, 教養ゼミ

専門分野
英語教育学(CALL, 英語教材論), アメリカ文学(ジョン・スタインベック等の20世紀初頭のアメリカ文学)

研究テーマ
ウェブ・スペースを活用した英語学習コミュニティの構築とその学習効果の検証と可能性模索スタインベック作品が持つ現代的文脈における価値の追求

所属学会・研究会
外国語教育メディア学会, 日本メディア英語学会, 日本スタインベック学会, 異文化情報間ネクサス学会(CINEX)

取得学位
修士(教育学) [Master of Arts in Teaching English as a Second/Foreign Language]英国バーミンガム大学 1999

メタバースプラットフォーム「CORE」で、海外の看護学生とリアルタイム学習を行う

● 導入目的:海外の看護学生とのリアルタイム学習を行う環境構築
● 課題:Web会議ツールなどの2次元画面では、参加学生から積極的発言を引き出すこと
が困難
● 効果:3D空間を活用した授業はいわゆるアクティブ・ラーニングとの相性が良く、学生にとっては大きな楽しみの一つとなっている。

【質問】
Q 山下教授の専門分野や研究テーマを軽めにご紹介ください。
CALL(Computer Assisted Language Learning)が専門です。ウェブ空間を活用した海外の大学とのCOIL(Collaborative Online International Learning)の環境構築に関心があります。


Q 導入の背景を教えてください。
これまでZoom等のWeb会議ツールを活用した海外の看護学生とのリアルタイム学習を行う環境構築に専念してきました。たしかにスクリーン越しながらも海外の教員や学生と英語によるリアルタイムのインタラクションが可能となり、参加学生の多くが、従来の授業にはない国際コミュニケーションならではの新鮮さを感じるに至り、英語学習へのさらなる意欲を示すようになりました。
しかしながらweb会議ツールの2次元画面では、参加者の顔がスクリーン上に並ぶのみで、従来型の一方向コミュニケーションに留まりがちとなり、学生間での双方向インタラクションは機能しにくく、参加学生から積極的発言を十分に引き出すことが困難でした。そこで3D仮想空間におけ 空間移動性が、学習空間での共存性を高め発言を引き出しやすい特性がある点に着目するに至りました。


Q 導入の決め手はどんなところでしたか?
研究計画立案の段階では、全天球カメラ画像(上下左右の全方位360度パノラマ画像)で撮影した、順天堂大学の教室の360度パノラマ画像にCG加工を施し、Web上に3D仮想学習空間を構築する予定でした。
しかし、医学部の一般教育の教授に相談したところ、AVRJapanにすでに構築された仮想空間(CORE)があると聞き、実際に自分がCOREの中に入ると、COILのプラットフォームとして十分に活用できるものであると感じました。


Q 具体的にどのような使い方をされたか教えてください。
フィンランドのユヴァスキュラ応用科学大学(以下Jamk)看護学科(学術提携校)と連携し、日本とフィンランドが共通に抱える社会問題として高齢化をテーマに、ロボットやAIの高齢者介護への導入状況、典型的な高齢者の食生活の紹介、地域の保健活動で行われている健康維持活動等についてプレゼンテーションを行っています。
Jamk看護学科国際コースは、アジア圏は言うまでもなく、アフリカ・アラブ諸国、東欧、南欧などの国々から学生が集まる。当然、参加学生は、言語・文化・国籍の異なる同世代の人々と学習を共にします。そこで、価値観や文化の違いを克服しつつ寛容的な態度でメディカル・コンピテンシーを向上させながら、発信型英語力の伸長が期待できます。
また、参加学生は、多国籍環境下での学習に取り組むため、国際補助語としての英語(EIAL:English as an InternationalAuxiliaryLanguage)使用を実感しながら学習を進めてゆくことが可能となります。『高齢先進国』として全世界がその行方を注視している我が国の高齢化対応策の一端を、世界に向けてボーダレスに英語で発信し、言わば日本の看護の輸出ができるわけです。ただし、7時間の時差があるため、午後8時に授業を開始するといった、変則的な運用を行わなくてはならないのが悩みの種といったところです。


Q メタバース空間の作成を含め、授業で利用された感想をお聞かせください。
目下、英語コミュニケーションⅡという授業と、International Collaborative Study in Nursingという授業でCOREを活用しています。ZOOM使用時に行っていたbreakout roomでの小グループディスカッションを、COREでは小部屋で行えるので、臨場感あふれる大きな没入感が期待できます。
今後は、パワーポイントでのプレゼンテーションがスライドを通じてできるようになることを強く望んでおります。このような3D空間で実施可能な言語活動にふさわしいタスクを考案・設定してゆくことが、英語教員としての大きな役割となってゆくでしょう。


Q 導入の効果はどのように感じられていますか?
一般的に英語の授業は敬遠されがちであるが、3D空間を活用した本授業はいわゆるアクティブ・ラーニングとの相性が良く、参加学生は自ら進んでCORE内を動き回り、椅子や机のなどを自分たちの好みに合わせて選択・配置しています。学生にとっては大きな楽しみの一つとなっています。


Q 今後はどのような活用の計画をお考えですか。
今後は対象国を米国、ウズベキスタンなどに拡大してゆき、海外で日本語を学ぶ外国人学生とのコラボレーションを考えてゆきたいと思います。将来的には互いに母語を教えあうtandem学習の実現してゆきたいと考えております。

ノルウェーにあるFynd Reality社のメタバースプラットフォーム「CORE」は没入型トレーニングが可能で、NATO軍や、消防署、製造・産業分野でも導入されています。複数名のユーザーと同時ログインすることで、コラボレーション作業や没入型トレーニング、技能伝承などの訓練ができるシステムです。ニーズに合わせた独自開発が可能です。
フォトグラメトリをはじめ様々な手法による、デジタルコピー、デジタルツインに対応しているため、リアルの現場を忠実に再現したメタバース空間でのトレーニングができる特徴があります。日本市場では開発パートナーである、AVRJapan株式会社が販売しています。

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